出社とリモートが混在する時代のチーム管理システム活用

2024.05.05

月刊 人事マネジメント2024年5月号(2024年5月5日発行)の連載コーナーに「出社とリモートが混在する時代のチーム管理システム活用」というタイトルで寄稿しました。

3回に分けて連載いただく予定で、今号の第1回では日程調整時の日時の間違いやダブルブッキングの発生要因、その改善策などを解説しています。ぜひご覧ください。

タイトル:出社とリモートが混在する時代のチーム管理システム活用
各回テーマ:第1回 ダブルブッキング・日時の間違いを防止するには
著者:ミクステンド(株)事業開発 前田 裕紀恵
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出社・リモートの混在で日程調整が複雑化

コロナ禍を経て出社とリモートが混在するハイブリッド型勤務も増えてきた今、チーム管理に新たな課題が生じています。主な課題として、コミュニケーション不足・パフォーマンス管理・ワークライフバランスの調整・セキュリティ対策などが挙げられますが、見落としがちな点として「スケジュール・タスク管理」や「日程調整」といった視点があります。

メール管理・資料作成などと併せてビジネスパーソンの日常的な事務作業に挙げられる「スケジュール・タスク管理」や「日程調整」は、ハイブリッド型勤務によって従来以上に複雑さを増しています。チームが同じオフィスにいる場合には、顔を合わせて簡単に話し合うことでの日程調整が可能でしたが、その場合も参加者のスケジュールの不一致・ダブルブッキングの発生・日時の案内間違いなどの課題がありました。現在では加えて、チームメンバー一人ひとりの勤務場所・時間帯・タスクの優先順位などを把握し、状況に合わせた効率的な日程調整が求められています。

日程調整の業務がビジネスにおいて重要な位置を占める理由は、ただ単に「会議や打ち合わせの時間を決める」ということを超え、チームの生産性やプロジェクトの進行、顧客からの信頼性など様々な点において直接影響を与えるからです。正確で効率的な日程調整が行われないと、作業の遅延やチーム間のコミュニケーション不足、顧客からの信頼低下といった問題が生じる可能性があります。

このような課題に対処するため、多くの組織ではチーム管理システムを導入し、リアルタイムでの情報共有、スケジュールの自動調整、タスク管理などを可能にしています。しかし、これらのシステムをただ単に導入するだけでは不十分であり、有効に活用するための戦略や運用ルールの策定・浸透が必要です。

本連載では、出社とリモートワークが混在する現代におけるチーム管理システムの有効活用法を探ります。全員が同じ場所にいない状況でも、システムやツールを有効活用することで効率的なチーム運営は実現が可能です。

従来よりありがちな 日程調整の課題

まず、出社とリモートワークのハイブリッド型勤務が広まる以前よりある、日程調整の課題では次のようなものが挙げられます。参加者のスケジュールの不一致・ダブルブッキングの発生・日時の案内間違い・日程確定までのタイムラグ・予定の優先順位の設定などです。参加者のスケジュールの不一致では、予定への参加対象者の数に比例して、調整の困難さが上がります。日程確定までのタイムラグでは、日程候補の提案後、相手からの返答まで予定を仮押さえしておかなければならず、その間は他の予定の日程調整ができないといった問題があります。予定の優先順位の設定の課題は、特に多くの予定招待を受ける役職者などで多く発生し、複数の予定が重なった場合にどちらを優先するのか、さらなるコミュニケーションが必要になるケースがあります。

そして、特に重要な課題であるダブルブッキングおよび日時の記載ミスについては、改めてその原因と防止策を説明します。

ダブルブッキングの発生要因と回避の方法

ダブルブッキングの発生原因としては、スケジュール管理の不統一・コミュニケーション不足・情報更新の遅延などが挙げられます。

スケジュール管理の不統一とは、個々に利用しているスケジュール管理ツールの不一致だけでなく、例えば営業チームにおいて、移動予定を登録する人と登録しない人がいるというようなルールが異なる状態も含みます。このような状態では、スケジュール管理ツールの空き状況だけでは本当にそのメンバーが空いているかを把握できず、ダブルブッキング発生のリスクが高まります。このとき、コミュニケーションによって各メンバーのスケジュール管理ルールを把握し、ダブルブッキングを防ぐこともできますが、そのコミュニケーションのための工数が新たに発生してしまうことになります。

また、個別に電話やメールで日程が確定した場合に、すぐにスケジュール管理ツールに登録していないといった情報更新の遅延もダブルブッキングの発生原因となります。ダブルブッキングは、出社とリモートワークのハイブリッド型勤務あるいはフレックス制度の広がりにより勤務場所や勤務時間の違いも考慮する必要が出てきたことを背景に、より一層注意が必要です。

ダブルブッキングの防止策としては、これらの問題をルールやシステムで解消する必要があります。まずはスケジュール管理の不統一解消のため、全員が同じスケジュール管理ツールを利用し、移動時間の予定登録や勤務場所・勤務時間についての登録ルールの策定と浸透が必要です。全員が同じツール・ルールでスケジュール管理を行うことにより、ダブルブッキングを防ぐだけでなく、スケジュール管理ツールを確認するだけで日程調整を行うことができ、追加のコミュニケーション工数も削減できます。

こうした情報共有のためのルールだけでなく、日程確定の際には早急にスケジュール管理ツールに反映するなどの情報更新の遅延に関わるルールも同時に策定することで、複数のダブルブッキング発生原因をなくせます。さらには日程調整の自動化ツールなどを活用することにより日程確定時には自動でスケジュール管理ツールに予定が即時反映されるといった環境を整えることで、ダブルブッキングの発生を回避することが可能です。

日時の記載ミスの発生要因と回避の方法

日時の記載ミスにおいては、自身のスケジュール管理ツールへの登録ミスと相手に連絡する際のメールなどへの記載ミスの2つの側面があります。また、タイムゾーンの考慮なども日時の記載ミスの発生原因となります。

自身のスケジュール管理ツールに登録する際の登録ミス・相手に依頼する際のメールなどへの記載ミスでは「4時と14時」「12時間表示と24時間表示」の勘違いによるミスや、日付・曜日の打ち間違いなど人的なミスが典型的です。ただ、手動で作業する限り、これらのミスを完全になくすことは困難です。また、異なるタイムゾーンにいる人との調整時、タイムゾーンの計算を誤ることも人的ミスの1つであり、登録・記載ミス同様、回避が困難な発生原因です。

これら人的ミスによる日時の記載ミスを防止するためには、ダブルチェックの習慣や体制などが有効です。そして防止策として一番効果的であるのは、日程調整を自動化するツールの活用です。スケジュール管理ツールへの登録や相手への依頼というステップにおいてツールを活用し自動化することで、手動での作業を減らしミスの可能性を低減することができます。また、タイムゾーンの考慮という点でも、ツール側で自動計算する機能があればミスは回避できます。

次回は、出社とリモートワークが混在するハイブリッド型勤務におけるルールを紹介します。

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■前田裕紀恵
兵庫県出身。大学卒業後は不動産系のITサービス企業に入社し,営業担当として活動。2020年4月に,日程調整ツール「調整さん」を展開するミクステンド株式会社に入社。ビジネス向けの日程調整ツール「TimeRex(タイムレックス)」のリリース当初より,サポートチームの立ち上げや顧客開発に携わる。問い合わせや打ち合わせを通じて顧客から日程調整の課題やプロダクトフィードバックを得て,社内に還元する役割を担ってきた。

「出社とリモートが混在する時代のチーム管理システム活用」

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